アリのままで

小学校3年生の担任教師をしている友人が、児童の日記に「ひるやすみに、●●ちゃんがアリのままをうたいました」と書いてあったという話をしてくれた。

私も、アリの巣穴を掘り返しながらこの歌を熱唱している幼児を見かけたことがある。一部の子どもにとっては、昆虫の歌として理解されていると思われる。

 

幼稚園児の頃の私は、「まっかなおはなのトナカイさんは いつもみんなのわらいもの」を「いつもみんなのにんきもの」と歌っていた。黒い鼻より、ぴかぴかの赤い鼻のほうが断然クールだと思っていたのだ。

トナカイが人気者だとすると「いつもないてたトナカイさんは こよいこそはとよろこびました」の部分に破綻が出てくるのだが、これは「容姿のみをもてはやされることに虚しさを感じ、華やかなスポットライトを浴びながらも陰では涙を流していたトナカイが、人の役に立つことで真の喜びに目覚めた」と解釈していた。当時のアイドル漫画の影響だと思う。未だに、トナカイ役は田原俊彦(※当時のトップアイドル)という感じがする。

 

「ありのままで」を「虫であることで迫害を受けながらも、本来の姿を隠さずに生きる蟻の歌」という解釈で歌ってみても、大した破綻はない。「アナと雪の女王」という邦題も、字面がちょっと「アリの女王」っぽい。どうせ『虫の歌』などと解釈している子どもはちょっと聞きかじった程度の関わりだろうから、見間違いもしている可能性は大きい。擬人化作品文化や「バグズ・ライフ」や「アンツ」などのCGアニメ作品の存在も、誤解に拍車をかける。

 

ちなみに私が「赤鼻のトナカイ」の真実に気づいたのは、大学1年の時だった。ぼんやり道の後進たちにも、「アナと雪の女王」が蟻の女王の話でないことに気づく時が来ると思うが、なるべく遅くなるように呪いをかけている。


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