お菓子は天から降ってくる

ダイエット及びコレステロール値問題から、甘いものを控えることにした。

しかし、仕事関係のいただきものが多い。政治家とかではないので、豪華な贈り物をもらうわけではないのだが、30代という年代は、先輩の仕事をちょこっと手伝ったり、後輩になにか便宜を図ったりするたびにちょっとしたお礼をいただくことが多いように思う。オフィスの机の上におせんべいが載っていたり、貸した資料にチョコがついて返ってきたりする。誰かが旅行に行った時も、おみやげに個包装のお菓子を配ることが多い。


そういうものはありがたくいただきたいので、自分でお菓子を買うのを一切やめることにした。これからは、スーパーに行っても、じゃがりこもキットカットも、存在しないことにするのだ。今後私がお菓子を食べられるかどうかは、一切が運まかせだ。


そんなこんなでここ2週間ほどお菓子を買っていないが、たまにいただくお菓子がものすごくおいしい。同僚がクッキーをくれたのだが、口に入れたとたんに、バニラの香りをはっきりと感じた。バターの滋味、そして砂糖の甘さがじんわりと全身に広がっていく。以前なら小袋ひとつ分くらいパクパク行ってしまったが、今は一枚一枚ありがたくいただいている。次の供給がいつだかわからないのもあるが、一枚の満足度がものすごいのだ。ダイエットしている方だけでなく、甘いものがお好きな方にも、1週間くらい甘いもの断ちすることをお勧めしたい。次に食べるお菓子は、五臓六腑に染み渡るおいしさだ。

ドラマの戦争中の食糧難の描写なんかで、子どもたちが本当に幸せそうな顔で食べ物を味わっているが、食糧難でも、飽食の社会でも、与えられている幸福の量は等量なのかもしれない。ないよりはあるほうがいいはずだけれど、当たり前に食べていると、おいしさがわからなくなる。


そんなある日、職場に行ったら机の上に子どもの顔ほどの大きさの「ジャンボどら焼き」があった。前の晩にお客様にいただいたものの、スタッフ全員に分けられる量ではないので、一番喜びそうな私の机にそっと置かれたらしい。

「もらったものは食べていい」ルールとはいえ、一人でこれを食べてしまったら本末転倒ではないだろうか。早くも天に試されている。


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