すべてがfになる

ダイエットをしている。

友人たちには何度めかと呆れられそうだが、とにかくダイエット中である。


健康診断の帰り道、保険センターで体脂肪率を計る機械にうっかり乗ってしまった。


体型や年齢の話は難しい。「太った」と言えば自分より重い人にキレられ、「老けた」と言えば年上の人にキレられる。しかし太るの老けるのもあくまで本人の中での比較の問題だ。

ハタチだって、本人がおばさんだと言えばおばさんなのだ。体重だって、それが何キロだろうと、オーバーウェイトとみなすのは本人次第だ。

逆に、何キロだろうと何歳だろうと、「まだまだイケる」と思いこんでしまうこともある。

しかし、体脂肪率は客観的な数字だ。自分の体の何割が脂肪でできているかがはっきりわかってしまう。相当な精神的ダメージである。

何度も何度もダイエットらしきものを決意して、最近ようやくわかったことがある。ダイエットとは、知ることだ。ランダムな知識を詰め込むのではなく、体の状態をつぶさに理解すること。

体脂肪率は何パーセントか、基礎代謝量は何キロカロリーか、何を、一日に何グラム食べるべきか、どんな運動をどのくらいの頻度で何時間するか。すべてに、その時々の正解がある。それらを把握しなければ、健康的に痩せるのは不可能だ。


とはいえ、去年あたりまでは食べなきゃ痩せた。

もちろん、暴飲暴食すれば太ったが、どんな状態からであろうと、普通に生活すれば適正体重に戻っていった。だからダイエットとは、「漠然と食べるのを我慢する」ことだった。

でも今はそうじゃない。食べなければ代謝が落ちて脂肪がつくし、運動しなければ筋肉が落ちて脂肪がつく。すべてがfになるとはこのことである。

今までそうならなかったのは、若さが代謝量と筋肉量を勝手に維持してくれたからだったのだ。そして、その件に関して言えば、私は既に若さを使い果たしたらしい。


そういうわけで、ホームズが運動のための運動はしてないというのは、ワトスンの勘違いだと思う。ワトスンが見てないだけで、寝室でこっそりロングブレスダイエットとかやってたはずだ。サー・イアンにはぜひその辺の事情を赤裸々に演じていただきたい。


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